脊椎・脊髄疾患

脊椎・脊髄疾患への当院の治療方針Treatment policy

保存療法をしっかりと行い手術なしでの回復を目指す

画像:脊椎・脊髄疾患への当院の治療方針

将来歩けなくなりますか?

患者様からよく聞かれる質問です。
歩けなくなるということはとても大きな不安です。

脊椎疾患(特に腰椎)では、下肢のしびれ、痛み、間欠跛行などの歩行に支障をきたす症状が出現します。
これらの症状に対し適切な治療をせずに放置すれば、下肢が麻痺して歩けなくなることはあります。

どんな症状を放置すればそうなるのか?
少しくらい様子をみていても大丈夫なのか?
この点を見極めるのが私たち脊椎病医の大きな役割です。

手術が必要な場合は信頼のおける関連病院の医師へ紹介

腰痛、下肢痛、痺れがあっても安易に手術加療を選択するわけではありません。
手術の選択については日常生活がおくれるかどうか、将来的に改善が見込めない(あるいは悪化する)などが判断基準になります。

また、転移性脊椎腫瘍、化膿性脊椎炎、病的圧迫骨折など脊椎疾患の中でも入院(手術)が必要な疾患を見落とさないことも大事です。膵臓がんや婦人科系疾患、腎臓疾患などの「重篤な内臓疾患の可能性」も腰痛を初発症状とすることがあり注意が必要です。

手術で症状が改善すると診断した場合は直ちに連携先の信頼できる医師に手術を依頼しています。

画像:手術が必要な場合は信頼のおける関連病院の医師へ紹介

主な脊椎・脊髄の疾患Major diseases

腰椎椎間板ヘルニア

当院での自然消退例です。

L4/5レベルでの椎間板ヘルニアは注射、リハビリなどの保存療法で半年後に消えました。

画像:腰椎椎間板ヘルニア

腰椎変性すべり症

第4腰椎が前方にずれています。椎間関節からの痛みや脊髄神経への圧迫による下肢しびれを惹起します。

画像:腰椎変性すべり症

腰部脊柱管狭窄症

狭窄症の治療にはリハビリテーション、コルセット、神経ブロックや脊髄の神経の血行を良くする薬などがあります。
これらで症状が改善することもあります。

この患者様の場合、本来あるべき脊髄腔が極端に全方向より圧排されています。
手術加療を検討するような画像所見です。

画像:腰部脊柱管狭窄症

骨粗鬆症

私たちの骨は毎日、骨形成(新たに作られること)と骨吸収(溶かして壊されること)を繰り返しています。このバランスが崩れると骨がスカスカになってしまいます。

骨粗鬆症は圧倒的に女性、特に閉経後の女性に多くみられ、女性ホルモンの減少や老化と関わりが深いと考えられています。
転ぶなどのちょっとしたはずみで骨折しやすくなります。(橈骨遠位端骨折、大腿骨頸部骨折、脊椎圧迫骨折など)

当院ではX線(レントゲン)検査に加えて、デキサ法(2重エネルギーX線吸収法)による詳しい検査を行っています。

画像:骨粗鬆症
画像:骨粗鬆症

頸椎椎間板ヘルニア

背骨をつなぐクッションの役割をしている椎間板の線維輪が、経年変化あるいはねじれや圧迫などのストレスによって断裂し、その断裂部から髄核が外に押し出されてしまう状態です。

30~50歳代に多く、しばしば誘因なく発症します。悪い姿勢での仕事やスポーツなどが誘因になることもあります。

主に上肢の痛みやしびれを引き起こします。

画像:頸椎椎間板ヘルニア

頸椎症性脊髄症

頚髄への圧迫により腕や手指のしびれ、歩行障害などが出現します。

画像:頸椎症性脊髄症

後縦靱帯骨化症

脊髄が高度に圧迫されており手術が必要な症例です。

両手のしびれ、歩行障害、箸が使えないなどの巧緻運動障害が出現します。

画像:後縦靱帯骨化症

脊椎、脊髄腫瘍

C4-6のレベルで脊髄内に病変を認めます。

画像:脊椎、脊髄腫瘍

リウマチ性頸椎症(環軸椎亜脱臼)

関節リウマチは頸椎にも障害を及ぼします。
一番上の関節で亜脱臼を生じています。不安定性もあり、手術が必要です。

画像:リウマチ性頸椎症(環軸椎亜脱臼)

小児の腰椎椎間板ヘルニア

L4/5レベルでの椎間板の変性とヘルニアを認めました。
運動療法を主とした保存治療で症状は改善、スポーツ活動にも復帰しています。

画像:小児の腰椎椎間板ヘルニア

小児の腰椎分離症

レントゲンではわからない分離症のMRI初期像です。
(椎弓根が高輝度に描出)
コルセット装着、ストレッチ体操と安静指導で分離部の癒合を待ちます。

画像:小児の腰椎分離症

小児の側弯症

日本での発生頻度は1~2%程度で、女子に多くみられます。
原因不明の側弯を特発性側弯症といい、全側弯症の60~70%を占めます。

特発性側弯症で程度が軽い場合には、運動療法などで経過観察しますが、進行する場合には装具治療を行います。脊柱の成長期である思春期に悪化する場合が多いため、進行する場合は手術による矯正が必要になる場合があります。

画像:小児の側弯症

治療方法について

ブロック注射

ブロック注射には以下のような種類があります。

  • 硬膜外ブロック
  • トリガーポイント注射
  • 仙骨孔ブロック
  • 仙腸関節ブロック

硬膜外ブロック

脊椎専門医や麻酔科医がよく行う神経ブロックです。
仙骨孔ブロックよりも効果が期待でき、腰部~下肢痛、しびれに有効です。

脊髄の近くまで針を入れて薬液を注入します。

硬膜外ブロック
硬膜外ブロック

トリガーポイント注射

トリガーポイント(押すと痛いツボ)をみつけてそこに麻酔薬を注射します。

画像:硬膜外ブロック
画像:硬膜外ブロック

手技療法

AKA(ArthroKinematic Approach)

椎間関節、仙腸関節の微調整を行います。

マッサージ

筋肉をほぐすことにより関節の可動性を改善します。

ストレッチ

筋肉を伸ばすことにより関節および神経への負担を減らします。

画像:AKA

物理療法・運動療法

  • 腰椎牽引
  • 頸椎牽引
  • 干渉波、低周波、温熱治療機器
  • 筋力増強機器(レッグエクステンション、レッグカール 他)
画像:物理療法・運動療法
画像:物理療法・運動療法
画像:物理療法・運動療法